5 Moncler Craig Green:古代の未来
ブランド伝統の機能性を現代の芸術性と組み合わせたジーニアスなコラボレーション
- 写真: Julien Boudet

デザイン性と機能性。このふたつは、Monclerにおいては、常にシームレスに繋がっている。このフランスのヘリテージ ブランドは、1950年代初頭より、高品質なラグジュアリー アウターウェアの中心的役割を担ってきた。創造性あふれるイノベーションを続ける中、ブランドの最新の試みが、CEOレモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)の考案した、世代を超えたデザインのコラボレーションという未来志向のプラットフォーム、Moncler Geniusプロジェクトである。ここでは、それぞれのデザイナーが、デジタル時代にふさわしい服と消費者体験を創り出す。Monclerは8人のデザイナーを起用し、1年を通してそれぞれ異なる8つのGeniusコレクションを展開する。ブランドの持つ機能性という遺産に、各デザイナーがそれぞれ新しく実験的なビジョンを提供する。


クレイグ・グリーン(Craig Green)ほど、この課題にうってつけのデザイナーは、そうそういない。グリーンは、ファッション界における新世代の若い才能の中でも、昨今はとりわけ話題に上ることの多いデザイナーだ。数度のイギリスのファッション アワードの受賞歴があるグリーンは、セントラル・セント・マーチンズのマスターコースでファッションを学んだあと、急速に頭角を表した。彼の展開するブランドは、実用的かつ未来主義的なビジョンを持ちながら、なおも時代に左右されない古典主義的な感性で知られている。Monclerは、従来テントやスリーピングバッグ、キルティング ジャケットといった登山家向けアイテムを提供してきた。その歴史から発展して、Moncler Craig Greenコレクションは、白、黒、濃紺といった色調の、彫刻的なダウン仕立てのスーツを発表する。ピンストライプのように見えるスティッチからは、クラシカルなメンズウェアの要素が見受けられる。さらにそれを、未来的で不可思議で、かつ過激な形態でありながら、柔らかさや思いやり、安心感をも与えてくれる「防護としての衣服」へと作り変える。





フォトグラファーのジュリアン・ブデ(Julien Boudet)と032cのファッション ディレクター、マーク・ゲーリング(Marc Goehring) は、このコレクションをセントアグネスに持ち込んだ。ベルリンにある、1960年代に建てられたブルタリスト建築の教会だったこのスペースは、グリーンの建築的デザインを確認するには格好の場所である。教会のコンクリートの壁を背景に、コレクションの防護服の魅力は、人間と環境を捉える最新の表現方法にまで拡大する。コレクションの3Dスキャンを任されたVRアーティストのサイモン・スパイザー(Simon Speiser)は、この過激なスーツを、技術と機能の進歩が人間の感触と有機的に融合するような、さらなる高みの領域まで引き上げる。
コレクションのローンチに合わせ、SSENSE モントリオール本店では、ミラノ ファッションウィークでのプロジェクトを再現した、5 Moncler Craig Greenの最新の展示を行う。展覧会は、モントリオールの418 St. Sulpiceにて9月10日まで開催中。
- 写真: Julien Boudet
- 3Dアーティスト: Simon Speiser
- スタイリング: Marc Goehring
- モデル: Christopher / TIAD、Philipp / TIAD