共感覚の世界

感覚に引っ掛かるファッション

  • 文: Rebecca Storm
  • 写真: Rebecca Storm

光であれ興奮を掻き立てる出会いであれ、何らかの情報が私たちの関心を引き付けると、その情報をより大量に受け取るために瞳孔が開く。小さく黒い深淵が拡大する。しかし、目から入った情報が、視覚ではなく、触覚や味覚を刺激する人々がいる。教科書を参照する限り、共感覚は辛うじて存在を認められるだけの現象に過ぎない。だが、経験者の話は教科書と大きく異なる。共感覚とは、ひとつの感覚経路への刺激が別の感覚経路から不随反応を引き起こす神経学的現象だ。例えば、色を聞き、怒りの匂いを嗅ぐ。公園の散歩が、突如として、感覚への集中砲火となりうる。

溢れる色彩、甘美な模様や歌の流れ...常々ロマンティックに空想される共感覚だが、現実は決して陽気なカーニバルではない。往々にして、刺激の過剰負荷、頭部と身体に及ぶ偏頭痛、感覚のひどい二日酔いとなる。透明な樹脂の塊と解ける氷を識別する緊張。ネバネバした厚塗りのグロスを嘲るかのごとき、繊細な羽毛の束。起きつつあることと同時に、起こり得ることが観察される。刺激の性質はどうであれ、結果は例外なくセンセーショナルだ。フォトグラファーのレベッカ・ストーム(Rebecca Storm)が、色、質感、斬新さを同時に使いながら共感覚状態の視覚的コンセプトを表現し、私たちが感覚のぶれから学べるものを提示する。

  • 文: Rebecca Storm
  • 写真: Rebecca Storm
  • スタイリング: Benjamin Evans
  • ヘア&メイクアップ: Laurie Deraps / Teamm Management
  • モデル: Alicia Ostrowski / Next